精神の戦争の記憶:ワルド・モッタ

*オグンを招く

 

彼らが戦(いくさ)に向かうとき
戦士たちやるべきことは
武器や花々を
敵の足元に投げ出すこと
そしてそのろくでなし共に
容赦なく恋に落ちること

 

*オグン(Ogum)はアフリカの土着宗教を起源とするブラジルの民間信仰カンドンブレー( Candomblé)では鉄の神として崇められ、戦いの神として知られています。異なる伝説や宗教でも登場し、鉄の他に猟、政治、戦などと深い関係をもつ神として描写されています。

私の国は他国と戦争をしていませんが、私は攻撃というより防御に重心においた、ある意味、戦争状態のなかにいます。言いかえれば、生存をかけた戦い、といったような、同性愛者の殺人においてはチャンピオンであるこの国における同性愛者の熾烈な生き残りをかけた戦争の中にいます。

こういった戦争状態の中で生活している私は、もちろん戦争の思い出があります。私は迫害、差別、包囲といった状態の中で生活しているので、包囲されている者といえるでしょう。しかも、私自身、同性愛者であり、同性愛を尊重し、宗教における熱情と神秘的であり同性愛を語る詩を通して、ゲイプライドの旗を掲げているのです。

とりわけこの戦争の原因は、ブラジル人の男らしさ重視の傾向のほかに、カトリックとプロテスタントの狂信、非識字率の高さ、不安定な教育、広がる貧困、マスメディアにみられる偽善、政治家と政府の愚かさと無能さなどが言えるでしょう。

これは静かな見えない戦争で、差別、ボイコット、無関心、消去、追放といった形で現れます。みなさん、想像してみてください。同性愛者として知られ、時には怖がられ、一部の人に愛され、でもそれ以上に多くの人に嫌われ生きていくということがどんなものか。そういった葛藤を表す詩は私の作品に多く見られます。

私は言葉で戦う。これは無駄な戦いではないと思います。言葉がすべての武器の中で最も強力なものだから。

詩『オグンを招く』は、ここに述べたような戦争に対する反戦争の詩で、終戦を願うものです。 オグン(Ogum)は、アフリカの神話に登場する戦争の神の名前です。同時に、オグンは文明、文化、芸術の神でもあります。

私はホメオパシー(同毒療法)のように、詩、芸術、文化を通し、実際の戦争を避けることができると信じています。

エスピリトサント州ヴィトーリア市、ブラジルより
ワルド・モッタ

 

ワルド・モッタ(Waldo Motta)(別名エディバルド・モッタEdivaldo Motta)は、1959年10月27日生まれのサンマテウス市エスピリトサント州(ブラジル連邦共和国)の出身で、1980年代から1990年代に渡って、文化人、特に詩人、俳優、数秘術の信者、ヒーラー、活動家として世に知られました。彼は、Fabricio Carpinejar、Angélica Freitas、 Micheliny Verunschk、Frederico Barbosa、 Claudia Roquette-Pinto や Cutiなどとともに、20世紀後半および21世紀のブラジル出身の詩人の中で最も代表的な一人として知られています。

 

主な著書

『Os anjos proscritos e outros poemas』(仮訳:天使と無法者の詩)(Wilbett R. Oliveira共著)Edição dos Autores出版(1980年)
『O signo na pele』(原題)。Centro de Cultura Negra do Vale do Cricaré 出版(1981年)
『 As peripécias do coração  』 (仮訳: 心の冒険)。Centro de Cultura Negra do Vale do Cricaré 出版(1981年)
『Obras de arteiro』仮訳:いたずら好きな動作)。Edição do Autor出版(1983年)。
『De saco cheio』(仮訳:うんざり)。Edição do Autor出版(1983年)。
『Salário da loucura』 (仮訳: 狂気の給与)。Edição do Autor出版(1984年)。
『Eis o homem』     (仮訳: ある男)。Fundação Ceciliano Abel de Almeida / Universidade Federal do Espírito Santo出版(1987年)。
『 Poiezen』(原題)。Federal do Espírito Santo / Massao Ohno 出版(1990年)。
『Bundo e outros poemas』(原題)Editora da Unicamp出版(1996年)。
『Transpaixão』(原題)Edições Kabungo出版(1999年)

『 Cidade cidadã. A cor da esperança』 (原題) Adilson Vilaça. Vitória: Secretaria Municipal de Cidadania e Segurança Pública、v. 4. Publicação em homenagem ao Dia Nacional da Consciência Negraより(1998年)。
『Recanto: poema das 7 letras』(原題)Imã出版(2002年)。
『 Transpaixão』(原題)第2版。Editora da Universidade Federal do Espírito Santo出版(2009年)。

Submit your comment

Please enter your name

Your name is required

Please enter a valid email address

An email address is required

Please enter your message

Report from the Besieged City/Informe sobre la ciudad sitiada/گزارش شهر محصور/ Správa z obliehaného mesta © 2017 All Rights Reserved