戦争の打撃: アンヘル・グインダ

赤ワインは、ゴヤの頭蓋骨から飲む戦争の血。戦争で荒廃した土地で苦痛が根を張り、狂気の目が猛烈に悲鳴を上げ、地獄から突き出た腕が太陽に向かって伸びる。火薬の雨と榴散弾の激流が戦争で荒れた土地の上空を埋めつくす。そんな空の下で死が地をなめる。

私は平和を知らない。私は戦後に、戦いの栄光と混乱の余韻の中に生まれた。

赤ワインは、苦痛の血。すべての戦争に通じる苦痛、無駄に流される血に対してさらに流される血。戦争はあの血、この血と、いろんな血にどっぷりとつかりこんでいる。なぜなら人間のもつ性は悲惨であり、壊滅の中で泣き叫ぶ子供の声が母を求めるように、悲痛の声が包み込む空虚から血はどんどん湧き出ているから。

人間の性はその血を飲み込みこんでは、または吐き出し、また飲み干し、嘔吐する。戦争は絶え間なく続く孤独の狭間から、無関心から、悪意から、軽蔑から、不和から、放棄から、困窮から、音のない叫びから、または張り裂けそうな沈黙の中から勃発する。

巨大な野生馬の群れのように、まるで酔っぱらったかのようにうごめく波のような大隊が、切り立つ崖っぷちに向かって攻め入る。それが戦争。解き放たれた風のように大隊は、闇に牙をうずめ、行く手を妨げる木をぶち倒し、前進していく。それが戦争。そんな野蛮な集団が、憎み合い、大地に向かって、大気に向かって、雲に向かって、星空に向かって吠え合い、光を、影を、家々を砕き散らす。旗を胸に、山を燃やし、そしてその火があたかも海を干からびさせるかのようだ。

従来の兵器や化学兵器だけがこの世を破壊するのではない。狂信、空虚で無意味な言葉、強行採決、謎の日食、無知、詐欺、誤報、迫害、諜報、独裁、亡命者の拒否などといったものが精神を破壊していく。

こんな血も通わない兵器をまえに、この戦いにどうやって立ち向かえと言うのだろう。

 

アンヘル・グインダ(Angel Guinda)はスペインの詩人。スペイン北東部の都市サラゴサで1948年に生まれました。現在、詩の本が15冊、詩による「マニフェスト」(宣言書)が3冊、スペイン語で出版されています。また、記事や彼が手がけた翻訳文などが定期的に出版されています。グインダはスペイン国内ではよく知られている雑誌El AlambiqueとMalvísの創設者の一人でもあります。2010年にはアラゴン作家賞の中からアラゴン芸術部門賞(仮訳)を受賞しました。

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  1. ViSUALMENTE ES BELLÍSIMO. GRACIAS, MOHSEN Y LUCIA.

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